相談までの経緯

顧問先との打ち合わせの中で、法人設立による事業承継についてアドバイスしたところ、3年ほど経った頃に依頼が来た。

事業内容

個人事業をやりながら不動産業を営んでいる。

個人事業は業績が天候などの要因に左右されるのに対し、不動産業は比較的安定しているため、不動産業で生み出した資金を個人事業で使っている。

会社を作る目的

長男が個人事業を継ぎ、次男は家を出て違う職業に就いている。

将来の遺産分割で次男が不動産を相続した場合、個人事業を安定的に営んでいくのが難しくなる。

銀行から借入をして建物を購入することで、将来の相続を前にして不動産の一部を確保することができる。

今回は、会社を設立して借り入れをしたが、いわゆる「不動産の法人化」でもあり、さらに個人事業のうち流通業を法人に移すことも視野に入れていた。

具体的な内容

長男が出資して会社を設立し、長男が会社の代表になった。
会社は銀行から借入して、父親から建物を購入した。

実行後の効果

遺産分割の回避

賃貸物件の建物は、会社を介して長男のものになってるため、遺産分割で次男に取られるてしまう心配が無くなった。
父親は売却代金を受け取っており、次男が相続する予定。

所得の移転

不動産の家賃は、長男の会社に入り、その一部を長男が役員報酬として受け取っている。
長男は将来の相続税の納税資金を貯めることができる。

土地の評価

土地は引き続き父親の所有であるが、無償返還の届出書を提出しているため、相続税の計算において土地の評価を20%下げることができる。

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