相談の経緯

紹介で顧問になった建設業の会社で、後継者が専務として実質的に会社を経営していた。
会社の決算と個人の確定申告を受け取っていた。

財産の分散の問題

会社の株式は、社長、社長の妻、後継者、兄弟2人の5人で持っていた。

会社の敷地も、後継者と兄弟で3人の共有になっていた。
兄弟2人は会社に関わっていない。

会社を設立するときに、会社に関わっていない兄弟を株主にすることがあるが、後にトラブルになることが多く、早めに解消した方がいい。

土地の共有についても、後にトラブルになることが多く、こちらも早めに解消した方がいい。

兄弟で財産を持ち合っている場合、親が生きているうちは揉めないが、世代が下にいくほどトラブルの原因になる。

そこで、兄弟2人が所有している土地の持分と株式を後継者に贈与するようにアドバイスした。

過去の顧問税理士の指導で共有になっていただけで、本人達が望んで所有していたものでないためか、兄弟2人も贈与に応じてくれた。

これにより、実質的な経営者である専務が、株式の50%以上と敷地を所有することになり、会社財産の所有権を確保することで立場が安定し、事業により集中できる環境が整った。

これ以降も、年間110万円の範囲内で社長から株式の贈与を続けている。

財務の問題

関与して2年ほど経ったころに、専務が相談にいらっしゃった。

専務の悩みは銀行借入の返済で、年間の返済が400万円ほどあった。
過去にリスケもしていて、返済していけるか不安の中にあった。

そこで損益分岐点分析に基づいたアドバイスをすることにした。

決算書を見ていると、固定費は1800万円あったが、粗利は75%と非常に高い。

3000万円の売上があれば、3000万円×75%-1800万円=450万円の利益となり、400万円を返済してゆくことができる。

粗利を75%以上確保して、3000万円の売り上げを上げることで返済していけることを伝えた。

粗利が下がった場合、上がった場合、売上が2500万円の場合、3500万円の場合など、エクセルで複数のシュミレーションを作成して説明した。

「受注の際に75%程度の粗利を確保しつつ、月に250万円の売り上げを上げればいい」、このようにシンプルに考えることで、不安が軽減して、営業活動に集中できるようになった。

専務はネットマーケティングの探求に熱心な方で、その後も順調に返済を続けている。

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